フリーランスの労災保険(特定フリーランス事業の特別加入)
2024年11月1日から、企業から仕事を受けて働くフリーランスは、業種や職種を問わず労災保険に特別加入できるようになりました。制度上の名前は「特定フリーランス事業」です。
更新
対象になるフリーランス
対象は、人を雇わずに働くフリーランスが、企業などの事業者から業務委託を受けて行う仕事です。厚生労働省のリーフレットでは、翻訳・通訳、講師・インストラクター、デザインやコンテンツ制作、調査・コンサルティング、営業代行などが例に挙がっています。
企業からの仕事と同じ種類の仕事を、個人のお客さんから受けている場合は、その仕事中のケガも補償されます。たとえば企業の宣伝写真を撮っているカメラマンが、家族写真の撮影を個人から頼まれた場合です。
対象にならない場合
- 個人のお客さんからだけ仕事を受けている(企業から受ける見込みもない)
- 企業から受けている仕事とは別の種類の仕事を、個人から受けている
- 実態として会社に雇われている(この場合は特別加入しなくても、もともと労災保険の対象です)
加入の時点で企業からの仕事がまだなくても、受ける見込みがあれば入れます。団体は加入のときと毎年の更新のときに、企業との取引の実績や見込みを確かめることになっています。
別の区分に入る仕事
特別加入には以前から、仕事ごとの区分があります。次のような仕事をしている人は、特定フリーランス事業ではなく、それぞれの区分の団体から入ります。
- 建設の仕事(足場を組むビルメンテナンスなども建設になります)→ 建設業の一人親方
- 軽貨物(黒ナンバー)やバイク・自転車での配達 → 運送・配送
- システムの設計・開発などの情報処理の作業 → ITフリーランス
- 映画・放送・舞台などの芸能の仕事 → 芸能関係作業従事者
- アニメのキャラクターデザインなどの制作 → アニメーション制作作業従事者
- 個人の家庭と契約する介護・家事 → 介護作業従事者・家事支援従事者
同じイラストレーターでも、企業の広告のイラストなら特定フリーランス事業、映画で使うイラストなら芸能の区分、というように、仕事ごとに分かれます(実際には作業の中身を見て判断されます)。両方の仕事で補償を受けたいときは、それぞれの区分に入ります。
保険料の目安
特定フリーランス事業の保険料率は1,000分の3です。給付基礎日額は3,500円〜25,000円から選び、年間の保険料は日額×365日×3/1000になります。
| 給付基礎日額 | 年間の保険料 |
|---|---|
| 3,500円 | 3,831円 |
| 5,000円 | 5,475円 |
| 10,000円 | 10,950円 |
| 20,000円 | 21,900円 |
| 25,000円 | 27,375円 |
このほかに団体の入会金や会費がかかります。年度の途中で入ると、保険料は3月までの月数分です(保険料の計算のしかた)。
補償される範囲
- 契約にもとづいて報酬が支払われる作業と、それに直接ともなう行為
- その作業に必要な移動
- 通勤中のケガ(通勤災害として)
事故が起きたときに、どの仕事をしていたかを示すため、フリーランス・事業者間取引適正化等法にもとづく契約書などの提出を求められることがあります。発注書やメールなど、取引の条件が分かるものは残しておくのが良いでしょう。
団体の決まり
特定フリーランス事業の団体は、全国を単位として運営し、都道府県ごとに加入希望者が訪ねられる事務所を置くことが承認の条件になっています。建設業の一人親方の団体と違い、住んでいる県で団体を選ぶ必要はありません。団体は加入者向けに、年1回以上、災害防止の研修をすることにもなっています。
出典
- 厚生労働省「令和6年11月1日から『フリーランス』が労災保険の『特別加入』の対象となりました」
- 厚生労働省リーフレット「フリーランスの皆さまへ 労災保険に特別加入できるようになりました」
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」(R8.1)
- 厚生労働省「特別加入保険料率表」(令和6年11月1日施行)
制度の内容は、上の資料で確かめた時点のものです。手続きの細かい扱いは労働局・労働基準監督署や団体によって違うことがあるので、申し込む前に確かめてください。
