労災保険の特別加入は誰が入れる?一人親方・フリーランス・社長の条件
雇われていない人でも、一人親方・フリーランス・中小企業の社長など決められた立場の人は、労災保険に特別加入できます。保険料は日額と料率で決まり、建設業の一人親方が日額1万円で入ると年62,050円です。
労災のミカタ編集部 / 更新
特別加入は労働者でない人が任意で入る労災保険
労災保険の対象は、本来は会社に雇われて働く「労働者」です。一人親方や個人事業主、会社の社長や役員は労働者にあたらないので、そのままでは仕事中にケガをしても労災保険から給付は出ません。
特別加入は、こうした人のうち、仕事の実態や事故の起き方が労働者に近い人に、任意で加入を認める制度です(出典 厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方等用))。入るかどうかは自分で決めます。(建設の現場では、元請から加入を求められて入る人が多いのが実情です)
入れる人は4つに分かれ、窓口がそれぞれ違う
厚生労働省の資料では、入れる人を次の4つに分けています(出典 厚生労働省 労災保険への特別加入)。
| 分け方 | どんな人か | 申し込む窓口 |
|---|---|---|
| 中小事業主等 | 人を雇っている中小企業の社長・役員と、事業を手伝う家族 | 労働保険事務組合 |
| 一人親方等 | 人を雇わずに決められた事業をする人(建設業の一人親方、個人タクシー・軽貨物、フリーランスなど) | 特別加入団体 |
| 特定作業従事者 | 農作業、介護・家事支援、芸能、アニメ制作、ITの作業など、決められた作業をする人 | 特別加入団体 |
| 海外派遣者 | 日本の会社から海外の事業所へ派遣される人 | 派遣元の会社・団体 |
どの立場でも、個人が労働基準監督署に直接申し込むことはできません。一人親方やフリーランスは団体を、社長・役員は事務組合を通します。
第1種・第2種・第3種は保険料の決まり方で分けた呼び名
保険料の決まりを定めた労働保険徴収法では、上の4つを3つにまとめて呼びます(出典 北海道労働局 特別加入制度の手引き)。料率表や団体の案内で目にする呼び方です。
| 呼び方 | 入る人 | 保険料率 |
|---|---|---|
| 第1種特別加入 | 中小事業主等 | 会社の事業に当てはまる労災保険率と同じ |
| 第2種特別加入 | 一人親方等・特定作業従事者 | 仕事の区分ごとに1,000分の3〜52 |
| 第3種特別加入 | 海外派遣者 | 1,000分の3 |
このサイトで扱う団体は、ほとんどが第2種です。建設業の一人親方の料率は1,000分の17、フリーランス(特定フリーランス事業)は1,000分の3です(出典 厚生労働省 特別加入保険料率表)。
人を雇う日が年100日以上なら一人親方としては入れない
一人親方等として入れるのは、人を雇わずに事業をするのが普段の形になっている人です。人を雇う日が1年に合わせて100日に満たないときは、一人親方等として入れます(出典 厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方等用))。
1年に100日以上人を使うなら、中小事業主等の側になります。この場合は一人親方の団体ではなく、労働保険事務組合に事務を任せて入ります(社長・役員の特別加入)。繁忙期だけ手伝いを雇う人は、年間の日数で数えてどちらに当たるかを、加入先に確かめてから申し込みます。
給付は労働者とほぼ同じで、額は自分で選ぶ日額で決まる
治療費は労災指定病院なら窓口で払わずに済みます。休業したときは4日目から、給付基礎日額(補償と保険料の基準になる1日あたりの額)の60%の休業補償と、20%の特別支給金が出ます(出典 厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方等用))。障害が残ったときや亡くなったときの給付もあります。
日額は3,500円〜25,000円から自分で選びます。日額1万円なら、休業1日につき合わせて8,000円です。(日額を一番低くすると保険料は安くなりますが、休んだときの給付もそれだけ少なくなります)決め方は給付基礎日額の決め方に表でまとめました。
補償されるのは加入のときに申し出た業務の範囲だけ
特別加入の補償は、加入のときに申し出た業務の範囲で起きた事故に限られます。建設業の一人親方なら、請負工事の現場での作業、工事に使う機械や製品を運ぶ作業などが対象です(出典 厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方等用))。
通勤中のケガも多くの区分で対象ですが、個人タクシー・個人貨物運送と、漁船で自営する人は対象外です。実務で見落としやすいのは、申込書の業務内容の書き方です。普段している作業が抜けていると、事故のときに対象かどうかの判断が分かれます。(申込みのときに、職種名だけでなく主な作業まで書いておくのが安全です)
保険料はどの団体でも同じで、差が出るのは団体の費用
保険料は国が決めた料率×給付基礎日額で決まるので、どの団体を通しても同じ額です。団体によって違うのは、入会金や会費、加入までの日数や手続きの方法です(特別加入団体の選び方)。
最後に
特別加入は、労働者でない人が任意で入る労災保険です。窓口は立場によって団体か事務組合に分かれ、保険料はどこで入っても同じです。自分が入れるかどうかの最後の判断は、申し込む団体や労働基準監督署に確かめてください。
入る区分が分かったら、働き方別の団体の一覧で近くの団体を探せます。保険料は保険料の計算機で、日額と加入する月から出せます。
出典
- 厚生労働省「労災保険への特別加入」
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」(R8.1)
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(中小事業主等用)」(R8.1)
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(海外派遣者用)」
- 北海道労働局「労災保険の特別加入制度について」(労働保険事務組合向けの手引き)
- 厚生労働省「特別加入保険料率表」(令和6年11月1日施行)
制度の内容は、上の資料で確かめた時点のものです。手続きの細かい扱いは労働局・労働基準監督署や団体によって違うことがあるので、申し込む前に確かめてください。
