特別加入者が労災にあったら、病院で伝えて団体の証明をもらい請求する
特別加入している人が仕事中や通勤中にケガをしたら、病院で労災だと伝え、団体に事業主の証明を書いてもらって請求します。使う請求書は労働者と同じで、治療費や休業の分の請求には2年の期限があります。
労災のミカタ編集部 / 更新
ケガをしたら病院で伝え、団体に連絡し、請求書を出す
- 病院で労災だと伝える。受付で、仕事中(または通勤中)のケガで、労災保険に特別加入していると伝えます。
- 団体に連絡する。いつ、どこで、どの作業中に、どうしてケガをしたかを伝え、請求書の事業主の証明を書いてもらいます。
- 請求書を出す。治療費は病院を通して、休業の分などは労働基準監督署に出します(出典 東京労働局 保険給付の手続き)。
請求するのは本人(亡くなったときは遺族)です。労働保険事務組合は給付の請求を代わりにできない決まりです(出典 厚生労働省 労働保険事務組合制度)。一人親方の団体には、請求書の書き方の相談や書類の取りまとめを手伝うところもありますが、どこまで手伝うかは団体ごとです。(加入のときに、事故のときの連絡先を控えておくと慌てずに済みます)
使う請求書は場面と仕事中か通勤中かで決まる
| 場面 | 仕事中のケガ | 通勤中のケガ | 出す先 |
|---|---|---|---|
| 労災指定の病院・薬局で治療を受ける | 様式第5号 | 様式第16号の3 | 病院・薬局を通して労働基準監督署 |
| 指定外の病院で治療を受け、費用を立て替えた | 様式第7号 | 様式第16号の5 | 労働基準監督署 |
| 治療のため働けず休んだ | 様式第8号 | 様式第16号の6 | 労働基準監督署 |
様式は厚生労働省の様式のページから取れます(出典 厚生労働省 労災保険給付の様式)。障害が残ったとき、亡くなったときなどは、それぞれ別の請求書があります。
事業主の証明欄は団体の代表者に書いてもらう
請求書には、事故が起きた日時や状況などを事業主が証明する欄があります。一人親方等の特別加入では団体が事業主とみなされるので(出典 厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方等用))、この欄は団体の代表者に書いてもらいます。第2種特別加入の事業主の証明は、事務組合ではなく特別加入団体の代表者がするものとされています(出典 北海道労働局 特別加入制度の手引き)。中小企業の社長・役員の場合は、その会社が事業主です。
休業の給付は4日目から、業務が全くできない日に出る
休業の給付は、休業の4日目から、1日につき給付基礎日額の60%(休業特別支給金の20%を合わせると80%)が出ます。日額1万円なら1日8,000円です。
特別加入している人は、所得が減ったかどうかにかかわらず、補償の対象の業務が全くできない状態であることが条件です(出典 厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方等用))。入院中や、自宅で寝て療養している、通院して療養しているなどで、その業務ができない状態をいいます。(軽い作業だけでも現場に出ていると、その日は休業と認められないことがあります)
日額ごとの給付の額は給付基礎日額の早見表に載せています。
補償されるのは加入のときに申し出た業務の範囲の事故
建設業の一人親方なら、請負工事の現場での作業、請負契約に必要な行為、工事に使う機械や製品を運ぶ作業、台風や火災などで急に現場へ向かう途中などが対象です(出典 厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方等用))。
- 通勤中のケガは多くの区分で対象ですが、個人タクシー・個人貨物運送と、漁船で自営する人は対象外です。
- 本人の故意や重大な過失による事故、保険料を払っていない期間の事故は、給付の全部か一部が出ないことがあります。
- 加入前に発症した病気や、加入前の原因で発症した病気は対象外です。
対象になるかどうかは、労働基準監督署が事故の状況を調べて決めます。上の例に当てはまっても給付が出るとは限らないので、迷ったら団体か監督署に相談します。
保険証を使ってしまったら病院で労災に切り替えてもらう
労災保険の対象になるケガで、健康保険の保険証を出して受診してしまったときは、まず受診した病院に労災へ切り替えられるか聞きます。切り替えられれば、病院に様式第5号(通勤中なら第16号の3)を出します(出典 厚生労働省 健康保険証を使ってしまったとき)。
切り替えられないときは、加入している健康保険に医療費の返還を申し出て、返した分の領収書を付けて様式第7号で労働基準監督署に請求します。(一度立て替えることになるので、最初の受診で労災と伝えるのが一番の近道です)
治療費と休業の請求は2年、障害と遺族は5年で時効になる
| 給付 | 期限 |
|---|---|
| 療養(治療費を立て替えた分) | 費用を払った日ごとに、その翌日から2年 |
| 休業 | 働けなかった日ごとに、その翌日から2年 |
| 障害 | 傷病が治った日の翌日から5年 |
| 遺族(年金・一時金) | 亡くなった日の翌日から5年 |
| 葬祭料 | 亡くなった日の翌日から2年 |
期限を過ぎると請求できなくなります(出典 厚生労働省 労災保険の給付の請求期限)。事故の状況は時間がたつほど確かめにくくなるので、団体への連絡と請求は早めにします。
最後に
特別加入者が労災にあったら、病院で労災だと伝え、団体に事業主の証明を書いてもらって請求します。休業の給付は業務が全くできない日の4日目からで、治療費と休業の請求は2年で時効になります。補償の対象になるかの判断は労働基準監督署がするので、迷ったときは団体か監督署に相談してください。
加入する団体を選ぶときは、事故のときにどこまで手伝ってもらえるかも見ておくと安心です。比べ方は特別加入団体の選び方に、団体は働き方別の団体の一覧にまとめています。
出典
- 東京労働局「保険給付の手続き」
- 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」
- 厚生労働省「労災保険の各種給付の請求はいつまでできますか」
- 厚生労働省「健康保険証を使って受診してしまいました。どうしたらよいでしょうか」
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」(R8.1)
- 北海道労働局「労災保険の特別加入制度について」(労働保険事務組合向けの手引き)
- 厚生労働省「労働保険事務組合制度」
制度の内容は、上の資料で確かめた時点のものです。手続きの細かい扱いは労働局・労働基準監督署や団体によって違うことがあるので、申し込む前に確かめてください。
